EOS/イオス(EOS)は公開後に急激に成長した仮想通貨として知られています。
2018年も動向が注目されているイオスは、どんな仮想通貨なのでしょうか。
この記事を読んだらわかること
- イオスの特徴
- イオスが持つメリットとデメリット
概要
イオスはDApps(Decentralized Applications)、いわゆる分散型アプリケーションを構築するためのプラットフォームになる仮想通貨です。
プラットフォームというのはソフトやアプリケーションを動かす環境のことで、WindowsやMacなどのOSのような存在を指します。
DAppsはまさにビットコインに代表される仮想通貨のように、ブロックチェーンを使用した非中央集権型のシステムです。
つまりイオスというプラットフォームを舞台として動作するアプリケーションを作ることができる、ということです。
主には企業間で利用されるアプリケーションの提供を想定しています。
通貨名および通貨記号はEOS、発行上限枚数は10億枚です。
ICOを開始して18時間で16億円を集めたことや、2017年6月26日の公開後瞬く間に時価総額ランキングのトップ10に入ったことで注目を集め、話題になりました。
2018年4月現在の時価総額ランキングでは、7位になっています。
イオス自体も仮想通貨の体裁をとっていますが、現時点ではこのEOSトークンに通貨としての利用価値はありません。
プラットフォーム上で使われることもありません。
イオスは純粋に資金調達のための通貨であり、トークンに価値がないことは開発者も公言しています。
決済や送金といった用途に使える他の通貨と大きく異なるのはこの点です。
あくまで、分散型アプリケーションを作るという用途に特化しているのです。
イオス自身もイーサリアムのプラットフォームを利用して開発された通貨で、EOSはERC20というイーサリアム規格のトークンのひとつです。
特徴
イオスの特徴には次のようなものがあります。
- スマートコントラクトを利用した幅広い開発が可能
- コンセンサスアルゴリズムにDPoSを採用
イオスの特徴は、mプラットフォーム上でイーサリアム同様にスマートコントラクトを利用したDApps開発が行えることです。
スマートコントラクトはブロックチェーンにおける取引に対し、自動で実行される契約内容を盛り込むことができる仕組みです。
この仕組みは企業間ビジネスを想定する場合には、とても意義のあるものです。
売り手と買い手の間で交わされる契約を自動化することにより、仲介業者や中間マージンといった不要な要素を取り除くことができるのです。
この特長はスマートコントラクトが今後社会を大きく変えるといわれる所以です。
イオスはマイニングのコンセンサスアルゴリズムにDelegated Proof of Stake(DPoS)を採用しています。
これは間接民主制のような承認ルールであると説明されるものです。
イーサリアムが採用している通常のPoSは、通貨の保有金額と保有期間によって権利が決まるという承認ルールでした。
DPoSでは、ブロックチェーンの参加者で承認者を決める投票が行われます。
投票によって選出された承認者がブロックの生成を行います。
各参加者がブロック生成の権利者を選別し、委任(Delegate)する仕組みです。
イーサリアムのPoSよりも、むしろリップルが採用しているPoCに近いといえます。
PoCはプルーフ・オブ・コンセンサスといって、投票で選ばれたバリデーターと呼ばれる承認者がブロックを生成するアルゴリズムです。
リップルのPoCではバリデーターの選別が主に管理者であるリップル社によって行われますが、DPoSの場合は不特定多数の参加者によって行われる点が民主的といえます。
DPosの特長はハッシュの計算を必要としないために処理コストが低く、ブロックの生成時間がわずか3秒で行える点です。
メリット
イオスが持つメリットには次のようなものがあります。
- 圧倒的なトランザクション処理能力
- 取引手数料が無料
イオスの特徴のひとつとして、高いトランザクション処理能力が挙げられます。
仮想通貨の性能を表す指標のひとつとされている秒間処理件数(tps)は、ビットコインが約7tps、イーサリアムで約15tps、リップルでも約1,000から3,000tpsといわれています。
イオスは非同期処理と並行処理によって、数百万tpsという圧倒的な処理性能を実現しています。
数ある仮想通貨の中でも類を見ないほどの性能で、クレジットカードのVISAやFacebook、Googleといったビッグネームの提供しているサービスすらも凌駕するレベルです。
ビットコインが抱えるスケーラビリティ問題だけでなく、よりスケールの大きいビジネス用途も見越した大きな特徴といえるでしょう。
また取引にかかる手数料を払う必要がない、ということも大きなメリットのひとつです。
イオスを利用したDAppsを利用する企業にとって、非常に大きなコスト削減に繋がるでしょう。
元のプラットフォームであるイーサリアムでは、トランザクションの実行に伴ってGas Feeと呼ばれる取引手数料が発生していました。
このGas Feeはマイナー達への報酬として支払われるお金です。
サービス利用者が増えたりスマートコントラクトの仕組みが複雑化したりするほど、Gas Feeは高くなる傾向にあります。
ビットコインでよく話題に上がるスケーラビリティ問題の一種といえるでしょう。
イオスではこの取引手数料を無料にすることで、スケーラビリティ問題に対応しているのです。
利用者もその分安価にサービスを利用できるようになるでしょう。
デメリット
次にイオスの持つデメリットをみてみましょう。
- 対抗通貨が存在する
イオスは魅力のある仮想通貨ですが、実はイオスだけのものではありません。
アルトコインは次々に生まれており、機能的に近いものも少なくないのです。
スマートコントラクトを実装した仮想通貨ということでは、イオスのプラットフォームであるイーサリアムやリスク、エイダなどがあります。
イーサリアムは今後バージョンアップも予定されており、性能を大幅に上げる見込みがあると言われています。
送金スピードの速さや手数料の安さといったメリットについても、多くの通貨が追随をしています。
用途が明確に分かれていて、住み分けができるものはいいでしょう。
しかし多くの通貨ではターゲットに重なるところがでてくるものです。
こうした通貨が対抗馬となり勢いを増した場合には、イオスの価値が下がる可能性もあるかもしれません。
自身のトークンに価値を持たないイオスがプラットフォームとしての利用価値まで失ってしまえば、後には何も残らないでしょう。
しかし実用化が進めば価値は飛躍的に上昇するはずです。
明るいニュースもあります。
Webbotという海外で生まれたプログラムがあります。
ウェブ上の様々な情報から株価などの値動きを客観的に予想するもので、過去の予想についてかなりの実績を持つプログラムです。
Webbotがイオスについて2018年に実用化が進み、価格が上がると予想したデータがあるのです。
いずれにしても実用化がカギであることは間違いないようです。
まとめ
自らがプラットフォーム環境となる仮想通貨、イオスを使うとビットコインのようなブロックチェーンの分散型アプリケーションを構築できます。
スマートコントラクトを使った新しいサービスは企業間のビジネスを大きく発展させるとして期待されています。
こうしたプラットフォームの機能を提供する仮想通貨は、利用の仕方によって可能性が無限に広がっているといっても過言ではありません。